【A】8/17登場分(3報)

[2208.07578] Dynamical Susceptibilities Near Ideal Glass Transitions

最近開発された非均一系のモード結合理論(MCT)を利用して一般化MCTを非均一系に拡張したという話らしい.

非均一系も扱えるように外場の効果を導入したということだったのでrandom-pinningを入れて理想ガラス転移点近くでMCT解析ができるようにしたのかと思ったがそういうことではなかったらしい.

じゃどういうことか?というと,MCTの歴史についての知識がなさすぎて,全然理解できなかった😭

動的不均一性を定量化する上でこれまで指摘されていた異方性やプロトコル依存性の問題を解決する理論的枠組が与えられたということなのか...?

 

[2208.06583] Double universality of the transition in the supercritical state

超臨界状態についての認識を改める必要があるかもしれない論文.

2種類のuniversalityを持つ超臨界内部での転移がありそうよ,という話.

 

深い超臨界状態ではgas-likeとliquid-likeな相がクリアに見分けられるらしい.

これは比熱のdynamical length依存性によって検出可能になっている:比熱の関数としてdynamical lengthが減少から増加に転じる点がある.

しかもこの比熱vs.dynamical length diagramは相図上の異なるpathに対して書いてもしべてsingle master curveに乗るみたい.これが一種類めのuniversalityと言いたいのだと思う.

2つ目のuniversalityはこの転移が様々な物質(言及されているのは窒素,二酸化炭素,鉛?,水,アルゴン)で見られることだ,と言いたいのだと思う.

 

[2208.06439] Heterogeneity extends criticality

これは機能出ていた論文のような気がするが,なぜか昨日のリストから漏れていた.

臨界現象を調べましたというには解析がかなり粗いところはあるが,conceptとかは面白かった.

むしろこの論文の主眼は厳密な臨界性というよりは様々な現実系で観察される臨界性っぽさにあるのかもしれないのでこういうざっくりした解析の方が相性が良い説もある.

 

検証例は構成要素ごとに温度が異なるIsing模型のものしか見ていないが,以下の四点が書いてあったように思う:

  1. 臨界点で隔てられる二相について秩序相がrobustness,無秩序相がadaptivityに関連づけられていた.そういう風に考えたことがなかったが,生物物理とかを想定して何らかの系が臨界点付近にtuneされているとすると,確かに臨界性を挟んだ2相双方に質の異なるメリットが見いだされるべきかもしれない.
  2. 臨界性を間接的に検出するための道具立てとしてcomplexityというものが導入されていた(Shannon情報量に基づいて定義されている).
  3. 系がheterogeneityを持つと臨界性を示す温度領域が広がる:臨界点付近へのparameterのfine tuneが不要になる.
  4. 世の中の多くの系が自然淘汰の結果,臨界性をいい感じに搭載できるようにheterogeneityを持つようになったのかもねという考えを提示している.