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[2302.11514] Two-dimensional crystals far from equilibrium

二次元系の非平衡ダイナミクスモデル(random organization model)の高密度での振る舞いを調べると吸収状態転移や保存型/非保存型Directed percolationやMermin WagnerやHyperuniformityや結晶転移やが色々あれこれして長距離秩序を持った結晶相が安定に存在するようになるという話.

 

Random organization modelというのは適当に粒子を変位させてうんたらかんたらというおもちゃ模型だが,元はこの論文で周期せん断下のコロイド系で観察された粒子配置の吸収状態転移の説明に用いられたのがはじめだと思う.

粒子同士が接触するようなことがあったらランダムに配置を変えようね,というルールで吸収状態転移が説明できたよ,という話だったはず.

この模型を用いると臨界密度以下ではそのうち粒子が一切動かなくなる吸収状態転移が起こるが,臨界密度以上ではずーっと動き続けるという話だったはず(この吸収状態転移の普遍性クラスとしてDPなのかCDPなのかという議論が続いているのだと思う.この論文はCDPぽいで,と言っている?).

2粒子の重心は変わらないようにしようねという話もあるらしく,その場合転移点以上ではhyperuniform(めっちゃ均一ということ:静的構造因子の低波数側が冪的に振る舞う=長波長のゆらぎがゼロ)になるらしい.

 

この論文ではかなり高密度な領域では全体が単一の結晶相を形成するようになることを見出した.

え?二次元なのに結晶ですか?という話だが,非平衡でエネルギー等分配則が破れているから二次元やけどMermin-Wagnerの定理が破れて結晶相が安定化されるということらしい.

この非平衡結晶相は構造的にはhyperuniformらしいが,一方でactive相(つまりどの粒子も動かないという吸収状態には囚われていない)でもあるらしい.

A single crystalline domainにはなるけどperfect crystalではないということかな?