【A】7/18登場分(3報)
二次元系では厳密な意味でのガラス転移はないと思われていたけど,横磁場イジング系では量子ゆらぎの効果でガラス相がstabilizeされて転移が存在するかもね?論文.
激アツか?
構造ガラスの場合は二次元では厳密なガラス転移=カウツマン転移=配置エントロピー(再安定状態であるはずの結晶に対してのガラス相の余剰エントロピーみたいなもの)がゼロになる点は温度ゼロになりそうね,という論文がちょっと前に出たこともあり,有限温度では二次元では厳密なガラス転移はなさそうねという風潮があるというのがこの論文のmotivationの背景の一つ.
この論文では三角格子上の反強磁性イジングスピン系に横磁場もかけてしまう系を考える.
さらに相互作用項の係数には平均がuntiferroになるようにしてrandaomnessを持たせておく.
三角格子で反強磁性系だと通常frustrationが発生してうまいこといかないが,横磁場起因の量子ゆらぎでこのfrustrationが解けるらしい!!
解けたらどうなるかというと,"the spins partially order antiferromagnetically and form a honeycomb superstructure"ということになるらしい.
さらに残りのspinはこのhoneycomb構造の中心に位置してoff-diagonal long-range orderを形成しながらゆらぐらしい.
さらに!が持つrandomnesがemergent random fieldとしてこのhoneycombを構造ガラス化させるらしい!!
さらに!!!このhoneycomb構造ガラスがspin glassを安定化させ,さらに!!!!spin glassが構造ガラスを安定化させるらしい!!!!
この一連の複雑なsynergy効果が低次元のゆらぎの効果に打ち勝って転移が生き残るということらしい.
激アツだな?
秋の学会のシンポジウムではこの話をお話されるのだろうか?
(タイトル的には違うかも?)
[2207.07504] Non-separability of Physical Systems as a Foundation of Consciousness
意識について物理学的なfoundationを与えようという試みの一つ.
既存の理論(統合情報理論とOrchestrated Objective Reduction )についてもIntroでさっくり説明されていてそれらに対する位置付けが割とわかりやすい気がする.
この論文ではミクロな自由度のnon-separabilityこそを意識の定量化指標にしようじゃないかという提案を行っている.
この提案は上記の2つの著名な既存の理論いずれとも整合的であり,これまでに知られている両者の間のconflictを解消できるかもね,という主張.
"Conflicting Models for the Origin of Life"という本が発売予定らしく,そのchapterの一つがこの論文らしい.
上で紹介した論文のように生命の起源に対して物理的な立場での解釈を与えようという趣旨か?
いわゆる再構成系(人造in vitro系でin vivoっぽさを再現しようとする学問分野をこう呼ぶのだと認識している)の人たちが書いている?