【A】8/26・29登場分(2+2報)

諸事情で最近ばたついておりますのでたまってしまった.

 

8/26登場分:2報

[2208.11899] Low-Frequency Vibrational States in Ideal Glasses with Random Pinning

ガラスの低周波の異常な局在振動モードが理想ガラス相でも存在するかを調べた論文.

理想ガラス転移(=カウツマン転移:配置エントロピーがゼロになるということ)を数値的に実現できるランダムピニングという手法を用いている.

めちゃくちゃおもしろい論点設定だと思った.

結論としては理想ガラス系でも局在モードはありそうやし,振動状態密度はよく知られた4乗則を示すらしいし(D(\Omega)\sim \omega^4),ボゾンピークも出るらし.

 

ちなみにランダムピニングを使うと,低周波モードを調べる際に鬱陶しい局在振動モードとphononのhybridizationが解けるという利点もあるとのこと.

同様の手法によって二次元でも巨大系での検討が可能になって最近の二次元低周波モードのべきについての論争に直接答えを与えられるかも?

 

[2208.11730] A continuous constraint satisfaction problem for the rigidity transition in confluent tissues

Vertex modelというconfluent細胞系の数理モデルにおいてshape index(=二次元でいうと細胞周長と面積の比)を変化させるとゼロ温度でのrigidity転移が観察されるというがある.

理論的にしっかり理解はされていなかったが,SAT-UNSAT転移にmappingして平均場理論を作ってみたという論文.だと思う.

 

8/29登場分:2報

[2208.12311] Gibbs-Bogoliubov inequality on Nishimori line

Ising spinグラス系で西森ライン上での自由エネルギーの見積もりについての不等式を検証したというような話らしい.

 

[2208.12310] Designing minimally-segregating granular mixtures for gravity-driven surface flows

2粒子混合系ではsegrigation(大きさの異なる二種類の粒子をいい感じに混ぜていたのに何らかの要因で自然と分離してしまう現象)が起こってしまうことが多々ある.

斜面上で重力によって流れていく粉体系を対象に離散要素法を使ってsegrigationが起きにくい条件を探ってあげようという研究.だと思う.