【A】6/16,17登場分(1,2報)
6/16登場分
[2206.07270] Drag of an elliptic intruder in a two-dimensional granular environment
粉体がそこそこ(わずかにjammingしないくらい)みちみちに詰まったところに楕円形の粒子をねじ込んで一定外力で牽引するような状況を考えるという仕事.
意外なことに楕円の長軸方向の運動は不安定になるらしい.
粘性流体中でも同じような話があったはずで,レイノルズ数に依存して定性的な変化が観察されていたように記憶しているが,いい感じの文献が見つからなかった(sedimentation的な話かBacteria関係かなにかで見た記憶はあったのに).
確か「レイノルズ数が小さいときは運動方向と長軸が垂直で,高レイノルズ数では運動方向と長軸と平行になり,その理由はエントロピー生成に対する支配因子が速度or抵抗力という定性的な違いが生まれるからだ」的な話だったような気がするけど確証が持てなくて気持ち悪いので調べ物をし続けていたら木曜日更新できなかった.
しかも結局いい感じの文献が見つからなかった.
気になるのでご存知の方がいたら教えて下さい...
ちなみにこういう粉体中でもそういう転移は観察され得るのか?が個人的に気になるけどそういう議論はこの論文ではなさそう?
6/17登場分:シンプルに時間がなくて更新できず
[2206.07830] Point defect avalanches mediate grain boundary diffusion
多結晶体中において粒界拡散なる現象が知られてはいたらしい.
さらに,その粒界拡散なる現象が分子レベルでどういう動力学になっているのかはまだよくわかっていないということらしい.
従来は粒界がきれいに秩序立った状態を実現し得る超低温とか粒界がぐちゃぐちゃになる超高温での粒子シミュレーションしか行われておらず,最も重要なちょうどいい温度での検討はなされたことがないらしい(中間の温度がなぜ重要かはわからなかった).
この論文ではそういう温度域での検討を行ってみたところこれまで観察されたことのないアバランチ的な振る舞いが見えたということらしい(間欠性とかシステムサイズ依存性とか).
ごく低温で見えるということなら納得やけど中程度の温度で見えるというのが少し不思議な印象.
表面roughnessが形成されたりするのが大事なのか?
気になる論文だがフォーマットが苦手なタイプのやつなのでpublish版が待たれる.
[2206.07868] Computer simulations of the Gardner transition in structural glasses
久しぶり来るべき新時代の教科書"Spin Glass Theory & Far Beyond - Replica Symmetry Breaking after 40 Years"の1チャプターの原稿.
2014年くらいから少しずつ進展し続けている構造ガラス系におけるGardner転移関連のレビュー記事.
色々小難しい話が多いのでコンパクトにまとめていただけると助かりますね.
こちらと合わせて読めばGardner転移まわりの動向把握はバッチリか.
本日6/20登場分は特になし.