【A】3/2登場分(4+2報)
[2303.00026] On weak ergodicity breaking in mean-field spin glasses
お恥ずかしながら知らなかったが,限界安定性に関連した弱いエルゴード性の破れという概念があったらしい.
そしてそれがpureなp-spin球模型(p体相互作用で記述される連続自由度スピンのスピンガラス模型:スピンにspherical constraintを課すので球模型)以外でも観察され得るかというのは論争の種だったらしい.
この論文ではp-spin球模型とs-spin球模型を組み合わせた混合系を扱い,pの値を2と3に固定しながらsを大きく振って弱いエルゴード性の破れが観察されるかを調べた結果,弱いエルゴード性が破れたときに期待される性質のうちいくつかはあてはまるが初期値依存性が残るという意味で違う部分も出てきたらしい.
要チェックや...
[2303.00129] Cell Division and Motility Enable Hexatic Order in Biological Tissues
細胞分裂や細胞の遊走性のおかげで二次元で六方秩序が実現されている説論文.
この論文ではself-propelled Voronoi modelという細胞組織のモデルで検証しているらしい.
先週から続く二次元でのMermin-Wagner定理の破れの話と関係してたら非常に面白い.
生物系でもHyperuniformityが現れるという話があるし(鳥の目の細胞やったか?)ありえなくはないか?
機械学習を使ったらガラスのagingの度合いすら構造(特にg(r)のみを用いているっぽい?)のみから区別できましたという論文.
液相に対応した高温で平衡化したあとにtarget温度まで急に温度を変化させるというプロトコルで"非平衡ガラス"を作成している.
系は二次元Kob-Andersenで運動方程式はOverdamped Langevin.
target温度はガラス転移温度(MCT転移点ぽい?)より下のものを選定している.
結構「えいや!」なプロトコルでquenchしているので降温後の複数の配置の間に似たような統計的性質がしっかり現れるのかすら自明ではない気がするが,しっかりそういうものが現れているし,それは構造にしっかり焼き付いているということか.
SHapley Additive exPlanation (SHAP)解析というもので構造状の特徴の特定も行っているらしい.
略称作るにあたってPの選び方無理やりすぎんか?exは無視して良いみたいなのがあるんか?
[2303.00195] Jeffery's orbits and microswimmers in flows: A theoretical review
昨年末にこの本を出版されたことでも有名な石本さんのレビュー.
Jeffery's orbitというのはロッド状の粒子を粘性流体中に入れた状態でその流体にせん断を印加した際にロッド状の粒子が描く閉軌道についての理論解のこと(たぶん).
低レイノルズ数極限を想定しているはず.
バクテリアなどの微生物もそういう細長い形状のものが多いから流れ場中の微生物は自身が形成するActiveな流れ場と外場の影響の複雑な相互作用の結果泳いでいるのだという話か?
石本さんは低レイノルズ数極限(Stokes regime)においては粘性流体中で物体が運動したとしてもその運動がreciprocalだったら重心の並進運動が生み出せないといういわゆる帆立貝の定理が非ゼロのレイノルズ数でどのように破れるかを数学的に証明したことでもめっちゃ有名(時間無限大極限での遊泳速度がレイノルズ数に線形に振る舞うという結果だと思う).
[2303.00051] Friction mediated phase transition in confined active nematics