【A】3/8登場分(3報)
最近タイトルの【A】を付ける意味がわからなくなってきた.
(一応,arXiv論文の紹介ですという意味です)
コンビニスイーツとかも紹介したいけど写真撮る前に食べてしまうんだよなぁ.
写真はないけど最近だとローソンのいちびこ亭コラボ商品はだいたい美味しかった.
特にいちごクリームチーズサンドとどらもっちはすごく良かった.
個人的に待ちに待っていた論文がついに現れた:めちゃくちゃ面白い数値計算手法の提案論文.
Deformable particlesをしっかり表現するための手法としては粒子の集合体で表す方法やPhase field法など色々提案されてきたが,表現能力や計算時間の観点で色々限界があった(Phase field法の論文初めて見たときは感動したけど).
この論文は高い形状表現能力を保持しながら計算負荷を大きく下げられるめちゃくちゃ賢い手法を提案している(1CPUで10^4粒子を扱っているということなので,MDくらいの感覚でdeformable粒子のsimulationができるということになる:もちろん興味のある時間スケールには依るが).
発表を聞くとすごくきれいなモデリングなので「ほ〜なるほどね〜」と思ったけど,後から自分で再構成しようとすると全然できなかったので論文を心待ちにしていたのであった.
この手法では各粒子の形状をフーリエ成分で表現するというOhta-Ohkumaモデル的な考え方を採用している.
さらにPhase-field感のある粒子場的なものを考えて自然と粒子間の排除体積効果を入れたのが一番のポイント・・・か?
これによって形状変化の効果もしっかり考慮しながら,粒子の並進・回転ダイナミクスが単純な常微分方程式の束で扱えるので小さい計算コストで大量の粒子を扱うことができる.
この手法は粒子がミチミチの高密度になったときにも問題なく使えるというのがめちゃくちゃ良い点で,色んな未解明問題(非生物の高濃度粒子系についても)に切り込める重要なツールになるのではないかと個人的には思っている.
この論文ではActiveな推進力の効果を運動方程式に取り込んでいて細胞の硬さ(=形状をcontrolするパラメータとみなせる.たぶん)およびActiveな推進力を振ったときの相図を調べている.
結果Vertex modelを用いて似た検討を行った先行研究(論文1,2)と整合した形状パラメータの位置に相境界が現れるという面白い結果が観察されている.
モデル詳細が違ってVertexモデルにはない自由度があるので(?)相境界で分かたれる各相の振る舞いは定性的に違ってはいる.
各相の性質についてKTHNY理論の二段階転移的な観点でも踏み込んだ解析がなされている.
[2303.04044] Models of Mixed Matter
Mixed matterという概念についてのレビューらしい.
混合系というものには三種類あるということらしい:マクロ混合系,ミクロ混合系,そしてメソ混合系.
マクロ混合系は熱力学的相分離というか,マクロなサイズの相Aと相Bが相分離している状態(気液相分離とか).
各相を特徴づける長さスケールがミクロな長さからよく分離していて,システムサイズとcomparaになっているというのが重要.
特に,熱力学極限を想定するので表面の効果は通常無視できると考えられる.
ミクロ混合系はミクロな構成要素がよく混ざり合っていて多成分系だが多相系ではない状態.
最後のメソ混合系がこの論文のターゲットで,一方の相の中にそこそこの大きさの相がランダムに分布しているようなのがtypicalな状況らしい.
こういうメソ混合系はめちゃくちゃいっぱいあるよということで具体例が12節にわたって大量に紹介されている.
その後メソ混合系を扱うための理論的な道具立てが12種類紹介されている:ここは割と一般的な話が多そう.
その後割と具体的な系を対象にしたspecificな数理模型が23個紹介されている.
最後にはmicroscopicな要素(ミクロ混合系ということなんだと思う)についての章が設けられている.
ページ数は参考文献抜いても103ページ,参考文献470.
PACS numberめっちゃ多くてワロタ.
[2303.03795] Sandpile Universality in Social Inequality: Gini and Kolkata Measures
興味深いタイトル.