【A】2/21登場分 EX(1報)
[2302.09770] Gel-like granular materials with high durability and high deformability
2/21に登場していたがPDFが生成できなかった論文がPDFが生成できるようになっていた.
子供のおもちゃとして一部界隈では有名なkinetic sandと普通の粉体を混ぜてみたら不思議な転移っぽさが観察されたという報告.
Kinetic sandはsilicon oilでコートされている(らしい)ため,粒子間にオイルによる架橋が形成され引力的相互作用が働くそう.
そのため,この論文で扱っている混合系では粉体系の中で一部の粒子が引力相互作用を持つという不思議な状況が実現している.
混合比を変えながら色々測定がなされている,オイルコートされた粒子が一定割当を超えるとヤング率が不連続に増大するようすが観察されている.
この不連続な増大を詳細に調べるために数値計算も行われており,この不連続性がコンタクトpercolationではなくrigidity percolationに対応していることが示されている.
このあたりは今までの知見とも整合していて面白い.
この他,オイルコート粒子混合系では大変形(ひずみ=15%程度)に対しても構造が安定なままで居続けるなど材料として有用そうな面白い性質も報告されている.
ゲルと粉体の間の性質を持っているかもしれないね,と書いているがまさにそういう感じがする.
未解決の問題としてある種の緩和時間的なものの存在が実験で確認されているがその起源の特定にはいたっていないことが報告されている.
オイルコートされていない斥力粒子だけを対象に解析してみるとjamming臨界性が保持されているのかという点が気になった.
もしその場合は,オイルコート粒子との混合比に依存して通常の粉体粒子が専有できる空間がフラクタル性を持ったりするのかもしれない気もして,jamming転移の上部臨界次元を非整数次元で検証できるようになったりするのかもしれないと妄想していた.
でも全粒子が自由に動き回るしもっと話がややこしそうな気もする...
そもそもしっかり均一に混ざるのも不思議な気すらしてくる面白い系だと思った.