【A】2/10&15登場分(5+1報)
#########2/10登場分
[2302.04740] Emergent States in Systems of Chiral Self-Propelled Rods
自発的にくるくる回ろうとするいわゆるChiral active matter系の集団運動特性を平均場模型と数値計算で扱った論文.
平均場で相図を書いてそれを数値計算でconfirmできたらしいという理想的な構成の論文.
数値計算の際にはintegrationに少し工夫を凝らさないとartifactのorder相が出てくることがあることも(abstractの中でも)言及されていた.
怖い話だし,気づいたのがすごい(理論予測にないから精査したのか?:数値精度を上げると消えるorder相なのでartifactと捉えているようだ).
[2302.04750] A possible phase and dynamical transition in a three-dimensional Electron Glass
電子ガラス系(?と訳すのか?)を対象にした平均場模型で相転移の存在が記述できて,おそらくそれを数値計算でも確認できたっぽいと言う話.
(たぶんガラス的な)Slow dynamicsと相転移も区別できてます!と書いている.
本当ならめっちゃすごそうな気がするが電子ガラスの知識がなさすぎてなんとも言えない.
[2302.04842] An Introduction to the Theory of Spin Glasses
コメント欄によると:
To appear as a chapter of the "Encyclopedia of Condensed Matter Physics", 2nd edition (Elsevier)
ということらしい.
こういう論文がたびたびあるが,この本がどんな仕上がりになるのか気になるし,めっちゃ欲しい.
1st editionとおぼしき2005年出版の同タイトルの本は2/15現在でamazon上で75万円しとる.
ちょうど3000ページらしい.
[2302.04400] Discovering interpretable Lagrangian of dynamical systems from data
データから支配方程式を抽出するSINDy(Sparse Identification of Nonlinear Dynamics)やそのvariantsが少し前に一斉を風靡したが,そいつにこれまた最近流行りのphysics-informed machine learning感を与えるために支配方程式を直接予測させるのじゃなくてLagranianを予測させてしまおうという話っぽい?
pureなSINDyと比較して性能がどうなるのかはパットは読み取れなかったが,その手があったのねという印象で面白かった.
しかしSINDyを使いたいのはLagrangianで書けなさそうなぐっちゃぐちゃな系だったりもするんだよなぁという気持ちもある.
[2302.04320] The fundamental thermodynamic costs of communication
面白そうなタイトル.
生物はいろんなchennelに分けて情報のやり取りをしているが,それは熱力学的に有利だからなのではないか?という仮設があったらしい.
しかしそれを検証した例がなかったのでしっかり検証できるgeneralなモデルを作ったらしい.
#########2/15登場分
[2302.06937] Out-of-Equilibrium Non-Gaussian Behavior in Driven Granular Gases
タイトルだけ見ると「それはそうでは?」と思ってしまったが,色々報告されてきたようなミクロな自由度すべてがavailableな状況ではなくて観測量が1つの(メソとかマクロな?)変数の時間発展だけの場合を想定しているらしい.
この場合は外場への応答をみたり周囲との相関の情報がないと解析が難しかったらしい.
この論文では"a vibrofluidized granular setup”(粉体が"granular gas"くらいの7-14%程度の体積密度で封入された容器が加振されて粒が飛び交っている?)でのprobe(たぶん板状)の角速度の実験的測定結果を対象にしている.
球がパチパチprobeに当たるから角速度が生まれるよ,ということらしい.
非ガウス性や時間反転非対称性をうまく定量化し,それを高精度で捉えることのできるモデルを提案している.
モデルのノイズも非ガウスにしようね,という尤もな結論になっている.
話が綺麗すぎて流し読みでは今までなぜ難しかったのかが逆にわからなかった...
KKさんらによる理論の貢献も大きかったのかもしれない?