【A】5/26登場分(7報)
[2205.12510] Exact Phase Transitions in Deep Learning
機械学習周りのいろんなものを対象に相転移的な議論を展開する例は最近増えているように思うけど,そんななかタイトルにExactという言葉を付けられるのはすごいな.
Statementもかなり面白そうで,トレーニングロスにおける予測誤差とモデルの複雑性の競合により,隠れ層が一層のときは二次転移,隠れ層が複数のときは一次転移になることが示せたらしい.
さらにここでの結果はベイズ深層学習におけるposterior collapse problem(学習の結果得られた事後分布が事前分布と一緒という悲しい状態)の起源にも関係しているらしい!!
Discussion partでは統計力学とニューラルネットのアナロジーに着目すると自然にあふれ出てくる面白い問も列挙されている.
アプローチ的にはロスtermをエネルギー,正則化項をエントロピーに見立てて自由エネルギーっぽく読み替えているところがミソか?
モデルの複雑性を低減させる項をエントロピーと思うと,モデルの複雑性とロスの競合問題になりますね,ということに落ち着くという話だと思う.
[2205.12384] Hyperuniform Active Chiral Fluids with Tunable Internal Structure
Active matter系では主に数値計算によってGiant Number Fluctuation(粒子数ゆらぎが平衡系の0.5より強いべきになる)とHyperuniformity(静的構造因子の長波長極限がベキ的に0に突き刺さる:密度ゆらぎが抑えられている)という一見相反する現象が報告されてきた.
この論文では洋梨型のクインケローラー(chiral active matterになるっぽい)を使った実験で実際両方見えることを示したらしいし,特に異なる長さスケールで共存することもありらしい:長波長ではHyperuniformやけどメソscaleではdynamic clusterの形成に伴う大きな密度ゆらぎが観察されるということ?
この共存はLeiらのScience Advancesでも予言されていたらしい?
また,粒子の回転起動の曲率が大きくなると孤立したspinnerになってhyperuniformityが消失するということらしい(回転半径が小さくなるということなのでreasonable).
[2205.12385] Guiding self-assembly of active colloids by temporal modulation of activity
おそらくこれもクインケローラーを使った実験.
外場をcontrolすることでクインケローラーたちを格子状に自己組織化させる術を報告.
数値計算も行って得られたcollectiveな構造物の"物性"も調べているぽい.
[2205.12704] Lift force in odd compressible fluids
Oddでかつ圧縮性の流体にトレーサーを入れてみたら,非圧縮odd流体の場合と異なり揚力が発生するという話らしい.
二次元摩擦なりharmonic sphereのdense packingに一軸圧縮,等方圧縮,純粋せん断の3種類の歪を与えて応答を観察したら,せん断のときだけちょっとジャミング転移点が違って見えるで,という論文(せん断の方がちょっと高いらしい).
この結果は単純せん断の結果と整合的だそう.
「昨年のお騒がせ論文のこともあったしちょっと『三次元イジングの厳密解求まった』とかいうやつむけに簡単なチェックリスト作っとこか?」論文か?
"Since then, new announcements of an exact solution have been made every few years, only to be systematically proved incorrect (e.g., Refs. [16–19])."
↑これはぎりぎりでチクチク言葉だな?
[2205.12663] Exchanging replicas with unequal cost, infinitely and permanently
レプリカ交換Monte Carloを改良した話ぽい.
もしかしたらMonte Carloに限定せずレプリカ交換MDにも使えるのかも?
結局Dynamicsが遅くなるところあたりには実効的にレプリカ交換がなされない見えない壁が発生するやんという悩みをうまく取り除く方法の提案ということになるのかな.
めっちゃ有用そうやんけ.