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[2205.06794] Gardner-like transition from variable to persistent force contacts in granular crystals
Gardner転移的なものが見えたかもしれない論文.
実験的にGardner転移に取り組もうとしたものとしては自分が把握している範囲では2016年,2020年,2021年のこれらの論文に続いて四例目.
非熱的ゆらぎの下での転移を見るという意味でIntroでは特に2016年,2021年の論文に焦点を当てている.
Gardner転移の下部臨界次元がもしあるとしたら2.5じゃない?みたいな議論があったけど,非熱的やったら二次元でもGardner-likeな振る舞いは出るという報告が増えてきていますね(これとか!!!!!).
泡をelastoviscoplastic emulsionに封入しせん断を与えた際の挙動を実験・数値計算で調べたという論文.
Elastoviscoplasticという欲張りな分散媒(こういうセットアップでもこう呼ぶのか?)を用いて実験と数値計算両方やるという欲張りっぷり.
Elastoviscoplastic materialの構成方程式が提案されているというのは驚いたe Saramito-Herschel Bulkleの構成方程式というらしい(この他Newton流体と,Oldroyd-Bの粘弾性体も考えている).
レベルセット法で解いてるみたいやけど,上記の様々な流体に封入する泡もdeformableにしているらしいし,数値計算めっちゃ大変そう.
「泡がchainを形成しますか?」とか「有効相互作用は引力ですか?斥力ですか?」という渋い論点を設定しているのが個人的にすごく好き.
[2205.06608] Advanced Thermostats for Molecular Dynamics
Langevin dynamicsに従って熱浴を真面目に再考してみたで論文.
提案手法では系の構成粒子が持つ運動量が莫大になったときの相対論的効果や高温での非線形な摩擦も扱えるとのこと.
普段自分が扱わない領域なのでそういう問題が発生しうることすら認識していなかった.
内容には関係ないけど,セリフ体で文章を書くのはあまり良い選択ではないかもしれないと実感した.
なんだか字と字の間がチカチカして見える.
今度はGreen-Kubo公式を少しイジって局所的な自己拡散係数を計算する新しい方法を提案する論文.
一個上の論文といい,なんか今日はそういう日なのか.
拡散係数が非等方やったり密度分布が不均一な場合の分子シミュレーションで結果をvalidateしている(currentと速度相関それぞれで求めた値が一致したからOKということか?).なるほどそういう問題意識かという感じ.
nanoscaleでのlocalな拡散係数の計算ができるというのは今後大事になる場面多そう.
[2205.06455] Extraction of ergotropy: free energy bound and application to open cycle engines
熱力学の第2法則をミクロな系で考える際にはergotropyという量がマクロ系での自由エネルギーに相当する役割を担うらしい(ユニタリ変換の下で取り出せる最大仕事と定義される).
Ergotropyという概念自体は2004年のこの論文が初出?
今回の論文では特定条件下で取り出せるErgotropyの最大量の見積もり等を行っている.