【A】5/27登場分(5報)

Critical  behavior  of  the  three-state  random-field  Potts  model  in  three  dimensions
https://arxiv.org/abs/2205.13047

ランダム磁場ポッツモデル(RFPM)の臨界挙動についての数値計算

温度0でのRFPMの臨界挙動を数値計算で検討している。
graph-cut methodと呼ばれる手法を用いて、RFPMの基底状態を近似的に求めているよう。
3次元でL=96とかまで調べていて、かなり大変そうだが、その分有限サイズスケーリングの結果が綺麗で感動した。
このあたり腰を据えてちゃんと勉強したい。。。

 

 

 

[2205.13194] Evolution of road infrastructures in large urban areas

都市というものは車の交通事情を中心に形成されるらしい.

高速道路や環状道路は交通渋滞を緩和させるために建設されるものだが,アメリカの過去のデータを頑張って解析してみると道路利用者の数に応じてこれらの構造が現れることがわかったらしい(利用者が10^4くらいで高速が,10^5くらいで環状道路ができるらしい:利用者密度というよりは都市単位での利用者という指標になっている).

これを数理モデルで扱おうということやけど,交通インフラの建設・維持コストと渋滞の効果も加味した交通関連時間の減少分との兼ね合いを考えるものになっているらしい.

このモデルでは上記転移も表現できる上に高速道路など取り去ってしまえという提言にもつながるそう.

面白いし,

"We consider a one-dimensional city of size 2R"

ここの潔さめっちゃ好き.

 

 

[2205.13509] The role of disorder in the motion of chiral swimmers in the presence of obstacles

ここ数日chiral active matterの論文が多い気がする.

障害物があったら拡散しにくくなりそうなもんやけど良い感じの密度の障害物があるchiral active matter系ではrectification効果的なものでむしろ拡散性が向上しますよという話.

「Rectificationが出るて当たり前やんけ」て思っちゃうのは早計で,図1を見るとめっちゃ色々検討しようとしていることがわかるし,図2を見てみると実に色んなパターンの"rectification"が観察されることがわかる.

図3はもはやちょっとしたphylogenetic treeみたいになっている.

よく思いついたなぁ.

 

 

[2205.12997] An Algorithmic Approach to Emergence

創発という言葉は数年前から流行っている気もするけど一体それは何なんや?というのを定量的に考えてみようという論文.

アルゴリズム情報理論を使ってアプローチしているが,ここではコルモゴロフ複雑性という概念がkeyになっている.

コルモゴロフ複雑性というのは"計算機科学において有限長のデータ列の複雑さを表す指標のひとつで、出力結果がそのデータに一致するプログラムの長さの最小値として定義される"[from Wikipedia]らしい.

このコルモゴロフ複雑性を\alphaに対してplotしたときに不連続なdropが観察されることがあるらしいが,これが創発現象の定量的な検出方法として提案されているのだと思う.

しかし残念ながら本日流し読みをした範囲では\alphaがなにかはわからなかった.

結末は貴方自身の目で確かめてほしい.

(昔のゲームの最速攻略本てこんな感じやった気がする)

\alphaとかは検索がかけられないから探しにくくて...

詳細がわかっていない身ではありますが,とてもおもしろいと思いました.

 

[2205.13149] The energy cost for flocking of active spins

タイトルの通りActive matterがflockingしているときのenergy costについての論文.

ルー大柴さんみたいになってしまった)

 

Active Ising model(AIM)という模型を使って,方向秩序が形成されているときには自走運動のためのエネルギーの他にもスピンの向きを揃えて秩序を維持するための余分なエネルギーの散逸があることを示したらしい.

そういう視点がありましたか,という感想.

個人的にはViscekモデルの相互作用のモヤモヤの一部が解決された感じがする.