【A】7/8登場分(3報)
[2207.03033] Predicting the structural colors of films of disordered photonic balls
物の色が決定されるメカニズムとしては,特定波長の波が電子との相互作用によって吸収されることによって反射光あるいは透過光が吸収された特定波長以外の波のみで構成されるようになるのが一般的なはず.たぶん.
一方,この論文の主題の構造色というのは物質の構造と光が古典物理的に相互作用した結果現れる色のことをいうらしい.たぶん.
例はこのページにまとまっているが,高校物理でよくやる薄膜による光の干渉縞とか空が青い理由として有名なレイリー散乱などがそうらしい.
一方,photonic balls(PB)というものが存在するらしい.
このPBとは10ミクロンorderの球で,中には光の波長とcomparaの距離を持ったナノ粒子やナノ細孔が入っているらしい.
これらのナノスケールのなにがしかが,randomだけど一定の相関を持っているとき角度依存性の小さな構造色が発現することが知られており,次世代塗料として期待されているらしい.
しかしどういう粒子を設計したらどういう色になるのかという予測は難しいらしい.
(設計通り作るのは簡単なのか?)
この論文ではそのあたりの問題を解決するためのmultiscale simulation手法を開発したらしい.
計算結果の反射率スペクトルの実験との比較なども行っている.
[2207.03319] Topological Speed Limit
現実系は有限速度で時間発展するわけだが,そのスピードは色んな制約を受けますよね,という話.
エネルギーとかエントロピー関連の話は多いと思うが,この論文では時間発展を支配するダイナミクスが持つトポロジーの重要性に着目している.
Wassersteinとかの最適輸送理論と熱力学的speed limitの話が最近多いように思う.
そういう気持ちで甘利先生のSGCの情報幾何学の本とか見るとバッチリそういう議論があるのね.
SeifertさんらによるMpemba的効果についての論文.
Mpemba効果は高温状態での分布がnon-Gaussianの場合を考えると再現性よく理解できるよ,という話があるというのを最近知った.
Kurtosisの値などで冷却速度がcontrolされるということらしい.
めっちゃ面白いですよね.
今回の論文では非平衡定常状態にある系が等温環境下で平衡状態に至る過程で似たような効果を発見したらしい.