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[2303.10300] Designing mechanical response using tessellated granular metamaterials

Metamaterialデザインできる人respectマンにはすごく突き刺さる論文だった.

特に自分の専門に少し近いところでmetamaterialをデザインしているのでなるほどなぁという感じだった.

 

この論文の内容を理解する上で重要な前提知識が3つ存在する.

1.斥力相互作用する球(球と球の間の接触という概念がwell-definedになる)を使ってランダムな構造で空間充填しようとするとjamming転移という転移が起こる.数値計算的にはこれまでjammingはおもに周期境界条件の下で研究されてきた.

2.jamming点移転直上では圧力pは0だが,圧力の増大とともに弾性率も上昇する.このとき同じ配置の構造の変化を追いかけていくと,圧力の増大とともに粒子の配置換えが起こり弾性率が増していく.

3.粒子数のめっちゃ少ない配置では圧力を増やしてもこの配置換えが極稀にしか起きないことがわかってきた.

 

これらの知見からこの論文では,ごく少数の粒子で作ったユニット構造の繰り返しで作ったjammed配置はなんだか不思議な性質を持ちうることを示している:圧力の増大に対して弾性率が減ることもあるらしい!

ただ単にユニット構造を繰り返すだけだとただの周期境界条件なのでこれまでの研究と特に違いはないのでは?と感じるところだが,最終的には有限サイズの系を考えている点が大きく異る.

また,ユニット構造自体に壁を設けたversionなども検討している.

物性がcontrolできる利点の他にもユニット構造が粒子の配置換えを起こさないということは材料として繰り返し付けるという点も言及されていた.確かに.

 

ユニークで面白い.

 

[2303.11245] Fluid-Glass-Jamming Rheology of Soft Active Brownian Particles

Active Brownian Particles系にせん断をかけて相図を作った論文.

多分みんな興味は持っていたけどやっていなかった話だと思う.

しかし,パラメータが増えるのでやはり計算がめちゃくちゃ大変そうだった.

系統的にしっかり調べていてすごい...結果もかなり面白い.

 

Activenessの強さの指標であるペクレ数と粒子の体積分率の2軸で張られる面上での降伏応力の値を示した相図,図1がメインの結果で,それを説明する形で詳細な解析が色々なされている.

また,粘度のせん断速度依存性,つまりシアシニングなどについてもしっかり検討がなされている.

 

流体的な密度の薄い領域の低せん断速度極限の粘度の振る舞いはPe数でrescaleした有効温度(実際の温度より高く出る)を用いたGreen-Kubo公式によく従うことが示されている.

この意味ではActive系の性質は有効温度で記述できそうね!という気が一瞬する.

 

しかし,濃厚領域にシフトすると話が全然違ってくる.

降伏応力が関係してくるような超濃厚領域ではPassiveな系ではガラス的な振る舞いとJamming的な振る舞いが競合することが知られていたが,Activeな系ではこのうちActiveな振る舞いが消失するように見えることが示されている.

ガラス的な振る舞いはまさに熱ゆらぎの影響が強く聞いてくる部分だが,Active系ではなぜかこれが消失するということだった(つまり流体相の場合とは逆に温度が下がって見えるということ!).

粒子間衝突のタイムスケールとActivenessのreorientationのタイムスケールの関係でActivenessの影響がenhanced noiseっぽく見えるか引力っぽく見えるかの違いに起因しているのかなと感じた.

 

 

 

[2303.10900] Mpemba effect in driven granular gases: role of distance measures

 

[2303.10850] Effect of substrate heterogeneity and topology on epithelial tissue growth dynamics