【A】6/1登場分(3報)
[2205.15643] Collective dynamics of dense disordered polar active matter
排除体積効果と"minimal alignment"が存在するActive matter模型を考えてみたという論文.
Alignmentの強さを変えたときのFlocking転移が高密度では二次転移的・低密度では一時転移的になるよ,という話のほかガラス的動力学の非一様な変化やMIPS相の消失についても言及している.
この模型にはalignment効果が入ってはいるが,alignmentと聞いてパッと思いつくような周囲粒子とのactive force directionのalignmentとかではなくて,各粒子のactive force directionが速度の方向に一致するようにというalignmentになっているぽい.
これは確かにminimal alignmentと言って良い上手いセットアップかもしれない.
物理学的にあっても良さそうやしContact-inhibition of locomotionとかもこういうものかもしれない?(たぶん)
ガラス的動力学のslowing-down(つまり緩和時間の増大傾向)がalignmentの強さJに対して非一様に振る舞うのは,flocking転移点以下では粒子がalignmentの効果で流動化する瞬間が存在するかららしい.
flocking転移後は相対運動が著しくsuppressされてmoving glassになるらしい(構造緩和はcage-relative の中間散乱関数で見ている).
Swap Monte Carloで使用するようなべき分布の多分散系を用いているのでFlocking stateでも結晶化はしないということなのだろう.
Jの増大とともにMIPSがsuppressされてFlocking stateが発達するようだが,図4では両者を定量化する秩序変数を一緒にplotしている.
中間値のJに対してはMIPS,Flocking双方の秩序変数が有限値を取るMIPS-FLOCK相が現れているのが興味深い.
MIPSが壊れるのは,単純に相互作用の影響で力を受けた方にActive force directionも向いてしまう傾向があるため.
[2205.15356] Physical constraints in intracellular signaling: the cost of sending a bit
生物はなんらかの形で空間的に離れた他の個体と情報のやり取りをしているわけやが,エネルギー効率はどうなっとるんや?という問に取り組んだ論文.
情報のやり取りにはいくつかの候補となるチャネルが存在する.
ここでは(たぶん)2次元拡散,3次元拡散,電気,音波の4種類の情報伝達チャネルを考え,送信側と受信側のサイズ,両者の空間的距離,情報やり取りのラグ(?)の3つの軸上で最適な伝達チャネルはどれか?という相図を作成したらしい.
面白い相図ができている.
[2205.15974] Linear Stochastic Thermodynamics
Stochastic thermodynamicsにおける線形応答理論を構築しようという論文.
2007年ころから類似の研究はあったらしいが想定している状況が限定的だったらしい(unconditionally detailed balance driving や 非平衡定常状態など).
この論文ではそれらを一般化しsystematicにdrivingをconservativeな寄与とnon-conservativeな寄与に分けられる手法を提案しているらしく,かなり色々なdrivingでの検証を行っているようだ.
周期的drivingの下では周波数に依存する一般化Onsagar matrixが得られるらしい.
その他setupごとにstatementを提示している.
門外漢にはすごくためになるIntroductionでした.むずいけど.