【Z】あなたもDepression Glass集めを始めてみないか?
久々の【Z】(雑記)記事です.
ガラスの物理についてあれこれ考える機会が多い身なので機会があれば美術的側面も勉強してみたいよなぁと思っていたところ,美術関係のお仕事をされていた方が関連する貴重な個人蔵書の一部をくださいました.
これを機会に少しずつ美術的側面の勉強もはじめましたので,たびたびいただいた本の内容をご紹介していきたいなと思います.
本エントリーでは以下の写真の本で紹介されていた,Depression Glassという一風変わったコレクターアイテムをご紹介します.
タイトルは扇動的なものにしましたが僕は(少なくとも今は)Depression Glass集めはしていません.
ガラス工芸品は美しいけど高価
世の中美しいガラス工芸品がたくさんあります.
世界的な有名所はオーストリアのSwarovskiとかドイツのMEISSENER BLEIKRISTALL,フランスのBaccarat,ポルトガルのAtlantisなどでしょうか?
ちなみにF1の優勝杯はAtlantis製らしいです.
国内でいうと江戸切子や薩摩切子,琉球ガラスや小樽ガラスが観光地と紐付いて有名だったりしますね.
個人的には最近こちらのありんこぐらすさんの商品が気になっています.
(側面,内面ともに美しすぎるのよ.これもガラスなん?という感じ.)
ここで言及した商品はいずれもとても美しく結構高価なのですが,以下でご紹介するDepression Glassは当時なんとタダで配布されていたこともあるそうです.
無料のガラス工芸品Depression Glassとは?
Depression Glassとは世界恐慌真っ只中の1929年からの10年間くらいに製造された安価なガラスの総称のようです(コレクターの人たち的にはこの期間はあまり重要ではなく似たような特徴のものは広義のDepression Glassに含まれたりもするそうです).
そのため日本語に訳してみると恐慌ガラス,とでもするのが良いのかもしれません.
このDepression Glassはシリアルボックスの中におまけで封入されていたり,映画館やガソリンスタンドでおまけとして配布されていたこともあったそうです.
これは不況のさなかに顧客をつなぎとめるための企業側の策だということでした.
(とはいえ,シリアルボックスは良いとして映画館やガソリンスタンドでガラス製品もらうのは意味わかりませんよね?)
デザイン上の特徴としてはポップな色付けがなされていて(上記の高価なガラス工芸品と比較すると)簡素ながらきらびやかな装飾が施されている点が挙げられると思います.
一説ではこうしたデザインが採用された背景には不況で鬱屈した気分になっている人々を元気づけようという意図があったそうです.
著作権的なことが怖いため画像は上の本の表紙のもののみとしますが,是非インターネットで検索して色々見てみてください.
写真の本の表紙のものは割と典型的なDepression Glassだと思いますが,この他にもテイストが全然違うものなど様々なデザインのものがありますのでお気に召すものも見つかるのではないでしょうか.
Depression Glass集めを始める前の注意
このDepression Glassにはコレクターの方々が結構いらっしゃるそうなのですが,コレクターあるところに贋作師あり,ということで偽物も結構出回っているらしいです.
もとは無料だったものですし,少なくとも偽物が出回り始めた当時は取引価格もあまり高価ではなかったはずですので,その偽物を作るというのもすごい話ですね.
作ってる側は単純に安価なガラス製品を供給し続けているだけでコレクターが勝手に間違えているだけという可能性もあるのかも?
興味を持たれた方は以下のサイトでDepression Glassの歴史・特徴などがまとめられていて,いくつかキレイな商品の例も掲載されていますのでご覧になってみてください.
それぞれの写真の下には現在の取引価格が書かれていますが,ものによってはまぁまぁなお値段みたいですね.