【A】5/5登場分(4報)

[2205.02204] Dynamical mean-field theory: from ecosystems to reaction networks

2020年のIrwin Oppenheim Awardを受賞したEric DeGiuli氏(Amorphous固体系の場の理論構築の功績で受賞)とSTATPHYS28でEarly Career Scientist Prizesの受賞が決定しCamille Scalliet氏(受賞理由は2準位系云々書いているけど,非hard sphere系での限界安定性についての一連の研究成果ということで良いのだと思う)の共著論文.

この二人の間に交流があるとは知らなかったので少し驚いた.

動的平均場理論(DMFT)を用いて化学反応ネットワークを解析するという話.

DMFTはスピングラスの平均場模型のダイナミクスの解析に初めて用いられて,その後ニューラルネットワークやエコシステムの解析にも用いられていたけど化学反応に適応するのは初めてらしい.

Motivationとしては生物物理というか,多様性の実現とその持続のための条件の考察にあるみたい(アブストの最後ではa physical theory of the origin of lifeとの表現あり).

Random Lotka-Volterra方程式(predatorとpreyの個体数の有名な非線形方程式モデル)のようなものが得られるらしい?

 

[2205.02184] Incorporating tunability into a universal scaling framework for shear thickening

Abstractの1文目から面白かった.

この著者らの以前の仕事ではshear thickeningが2つの臨界点の間のcrossoverで支配されている説を提案していたらしい!!

その2つの臨界点とは摩擦なしの等方的なjammingと摩擦ありのshear jammingらしい!!

おもろい!!(ちなみにこの論文みたい:一年弱前にarxivにアップされてるけどまだ出版はされていないようや)

これとは別の文脈で,Shear thickeningを起こすprimary shearとは別の方向にshearを印加することでShear thickeningをtuneできるという話があったらしい(この論文に似たセットアップ?).

今回はそういうorthogonal shear perturbation(OSP)の効果も冒頭で述べたcrossoverとかを記述するscaling関係式にmultiplicativeな項として導入できることが示せているらしい(たぶん).

こういう(OSP)は単純なせん断成分一つだけがnonzeroの単純な数値実験からの拡張になっていると見ることもできる.

 

[2205.01934] An unexplored valley of binary packing: The loose jamming state

2成分系のrandom close packingについてこれまでしっかり調べられていなかった領域を調べると,一成分系よりも薄い密度でjamするところを見つけたよ,という論文か?

確かに面白い発見かもしれないけど,「We present a theoretical prediction〜中略〜based on the hard-sphere fluid theory」ということなので最近の悪夢が思い起こされるな?

 

[2205.01867] Soft Metamaterials: Adaptation and Intelligence

Odd viscosityなどで有名なVitelli氏らによるshort review?Natureとかに載ってるめっちゃ短い記事?

業界のようすをチラッと覗くのに良さそう.